西洋芝を管理するものにとって、日本の梅雨はまったく厭なものです。
私なんかも、本スレでは「土壌の透水性を確保して、云々」と偉そうに云ってますが、現実は芝生の土壌改良なんて早々出来やしませんよね。
現状維持出来れば良し、うかうかしていると悪くなる一方と云うこともままあります。
もし、年々良くなっている。といえるなら、それは大いに威張っても良いですよ。
努力の賜だと思います。


さて、基本的には日本芝(高麗芝・野芝)は、生育の最盛期を迎える梅雨明け時期が、更新作業の最適期だと思っています。
冬場、梅雨時のダメージなんかも一気に回復させちゃえる時期ですよね。
この時期にコアリング+目土(砂+土+堆肥やボカシなどの有機肥料)で、一年分の芝を作ってしまえば、後はそんなに苦労しなくても良いでしょ。
と云うのが、持論です。


では、西洋芝、ベントグラスやライグラスの更新作業の適期は、と云うと、やっぱり春先とか秋口の、比較的冷涼で過ごしやすい時期ですね。
余談ですが、更新作業も含めた管理体系をいろいろなゴルフコースのキーパーに伺うと、春と秋、どちらに芝を作っちゃうのかと云う考え方、「春派」と「秋派」があるような気がしているんですが・・・。
春先に攻め込んで、秋は守り・・・
秋口に翌年の春の分まで作っちゃって、春は冬のダメージの回復と夏越しの支度・・・。
ナンカ微妙に違うんでしょうね。
もっとも、いつも云っているように管理するフィールドに最適の方法を捜した結果でしょうから、「みんな同じ筈がない」のでしょう。


で、まあ大雑把に更新作業の話を・・・。


西洋芝の梅雨越しの話。単純に梅雨入り前の更新作業。
コアリング若しくはムク刃でのエアレーション。
のお勧めです。
単純に、表面の透・排水を良くすること。
新鮮な空気を根圏に送り込めること。
等によって、病害の発生を抑制出来ます。


次に夏場の管理の話。単純に梅雨明け時期の更新作業。
梅雨時に大分やられちゃった・・・。
と云う時は、やっぱりコアリングかエアレーション。
この場合は、目土を施用せずに薄く液肥をやって様子見です。
液肥も、尿素とか硫安とかではなく、園芸用品店さんなんかに置いてある、「アミノ酸」とか「糖質」の入ったものを、ラベルの一番薄い希釈倍率でサーッとかけてやります。
散水は、気温の充分に下がった時間にたっぷりとやって、日中は出来るだけ乾かしてやります。
当然刈高は少し高めで。デモ、伸ばしすぎちゃって焦って一気に刈るようなことの無いように気を付けてやります。


そして夏場。ここまで頑張ったけど、やっぱりやられちゃった・・・。
と云う時も、やっぱりコアリングかエアレーション。
時期的には、涼しい方では、お盆を過ぎて9月の声が遠くから聞こえる頃からで大丈夫。
こちらも、あけっ放しで我慢します。
水管理、施肥管理、刈込は梅雨明け時の更新作業時と同じ考え方で良いかと思います。
芝に勢いが戻ってきたら、薄く目土をしても良いかも知れません。
涼しくなるのに合わせて、すこしづつ施肥の量を増やしてやります。


夏の朝、起きてびっくり!!と云う時に、思い切ってエアレーションをかけてしまう・・・。
と云う手もあります。
昔の床土が土だった頃のベントグリーンで、たまにありましたね・・・。
この場合は、時期を問わず、真夏の炎天下でも施工。後は過乾燥させないように、ひたすら水管理です。


で、もう一度書いておきますが、
いずれの場合も、判断は管理する側にゆだねられます。
床土から始まって、日照やら通風。普段の管理の集約度など、条件によっては、必要ないでしょうし、せっかく綺麗にした芝を悪くしてしまうことさえあるかも知れません。
梅雨を、夏を乗り切るために何をしてやればよいのかな・・・、と云うこと。
万が一の事態の時に、いち早くリカバーさせるには、何をしてやれば良いのかな・・・、と云うことの中で、
『更新作業をするという方法もあるんですよ』ということでしょうか。
そして、更新作業だけしていれば、梅雨が、夏が楽勝で乗り越えられるかと云うことではありませんので、お間違えなく。
梅雨・夏越しの手段であれば、こうして穴あけとくと大分違うよ・・・。
トラブルの際の施工であれば、とりあえずそれ以上の悪化を防いで、そこからの回復がちょっとは違うよ・・・。みたいなところです。