[312のうっぷん晴らし] その2:コースが食い物にされてゆく・・・







ところで、最近また一件、目の前が真っ赤になるくらい頭に来たことがありました。


その前に、もう一度はっきりと申し上げておきますが、私は、あくまで現場サイドからものを申します。
芝の管理は現場でやっているので、どんなに優秀な人間でもどんな天才でも、現場も見ないで、あるいはたまたま目に入ったことをあげつらって、あれこれと指図したり管理体系にまで口を出せる筈がないと思っている人間だからです。
日夜体を張って現場を守っている者の方が、例え間違いがあっても、現場をよく知っていると思っています。
そこに、現場も見ずにあれこれと能書きばかりの連中が入ることに、入ってくる連中に対して虫ずが走るほどの嫌悪感を覚えます。
現場にはいるなとは云わない。入るならそれなりに体を張る覚悟で現場に入れと、云いたい。
現場にもの申すなら、それなりに見て、聞いて知ってからもの申せと、云いたい。


たとえば・・・
まぁ、とあるゴルフコースで、そこのグリーンキーパーが、人件費までトータルで考えた予算の中と、そのコースの立地(気象や、コースの性質)等を考慮に入れて、こんなものだろう、と云う高さを設定して作業の指示を出しています。
もちろんキーパーの中では理想とするコース像があるはずです。(たまにそう云うものが欠落しているキーパーもいて、何でこの会社はこいつに一番大事なコースという商品を預けているのだろう、とは思うんですが、それは別の話として)
あるんですが、現実的には様々な条件を勘案して、妥協点を見いだしているわけです。
決して満足なんかしてはいないけど、この位がこの時期は一番安定した状態で商品を提供できるから、と云うのがたとえばの理由。
もちろんチャレンジを続けているキーパーもたくさんいらっしゃるんですが、みな安全マージンはちゃんと取っているはずですし、だめだったらすぐにリカバリーさせる手だって考えているはずです。
それがなかったらただのメクラ滅法だ・・・。(たまにそう云うキーパーもいて、結構影では笑えるんですが、それもまた別のお話)
ところがそこに、余所のスペックを聞きかじった支配人やメンバーがやってきて、あるいは名刺にあれこれ書き付けた顧問の先生がやってきて、
「この刈高では・・・」云々がはじまります。
曰く、トーナメントのセッティングでは・・・
曰く、あそこのコースでは・・・
と云うことで、刈高を下げることを強要され、上手くいけばいいが、いかなければキーパーは責任を問われ・・・。


これが刈高だけでなく、コースのセッティング全般や、大きな管理体系にまで及ぶと、もう、キーパーにとっては気の毒なだけです。
何とかしようとして築き上げた体系をガタガタにされた挙げ句に、責任まで問われてしまう。
メンバーさんはまぁ、芝のことを知らないのである意味で罪はないんですが、支配人や顧問の先生は何の責任も負わなくて良いのだろうか。
大原則として支配人はコースのことも責任負うんですから、キーパーに丸投げして結果だけを量ってないで、勉強してくださいよ。
週に1回の公休をきっちり取って、メンバーさんとゴルフやって、近所の支配人とニギって勝負して、も良いけれど、それがあんたの仕事ですか?
1ヶ月に1回来たくらいで、現場が全部分かっているようなことを云う顧問の先生の云うことが、1ヶ月ろくに休みも取らずにコースを駆け回っているキーパーの意見よりも重きを置かれる会社って何なんだ。
バブルの頃の金と人が余るほど使えた頃の肩書き頼りだったり、なんだかよく正体の分からないアドバイザーの先生が、どこかに書いてあったような教条的なことを並べるだけで芝が良くなるなら、金もない人がいないで、キーパーが精神病みそうなところまで追いつめられて仕事する必要なんか何にもないでしょ。
そんな顧問だコンサルだって役にも立たない連中を雇って、管理費用を減らしてボーナスも出してやらない、昇級も何年もないなんてことをやっていて、コースが良くなると思っているのかね。
挙げ句の果ては、汗水垂らしてコースを守ってきたコースを現場の人間を、あっさり外注会社に丸投げして、管理費を節約した気になって、その実保身に走っている。
お前ら一体、コースを、現場の人間をどう思っているんだ。
って、そんなゴルフコースが結構多いんです。


確かに立派な支配人、コンサルの方、いらっしゃる。
外注の会社の中にもまじめに取り組んで折られる方々、ちゃんといらっしゃる。
でも、本当にいい加減なことをやって、やり放題のつけをコースに回して知らんぷりしている連中が多すぎる。
そこにつけ込んで、掠めるような仕事をしている連中が多すぎる。
そうして、追いつめられたキーパーが、一人コースに立っている・・・。
そんな光景もまた、多すぎるような気がします。


ここしばらく、本当に、悲しくなるくらい腹が立って、もうこの業界から足洗おうか、って小一時間・・・。