ちょっと前から、日本のゴルフ場のパッティンググリーンなどでも苔の侵入が重大な問題となっています。

それに伴って、農薬を用いた様々な手法や、いろいろな苔の侵入対策資材というか、殺苔剤(書いて置いてなんと読めばよいのやら、分からないんですが・・・)みたいなものが出回ってもいます。
同時に、情報交換の大きなカテゴリーになりましたね。
「苔、どうしてる?」
なんて話が、グリーンキーパーの集まるところでは、必ず持ち出されています。

今回、あちこちのキーパーさんや、業者さんにいろいろ伺ってきたこと、見せて頂いたことをちょっとまとめてみました。*1
それと、苔の侵入の要因は単一ではなく、複合的な要因として考えください。また、各項目それぞれにも関連があります。
そして非常に藻の発生と共通する点も多いようです。

発生の要因

  • プレーヤーの高速グリーン嗜好
    • 施用窒素量の減少
    • 低い刈高
    • 目砂施用量の減少(薄目砂が主流となり、1回あたりの施用量が減少したこと)
    • 過剰な土壌固結
  • 芝の芽数の減少
    • 施用窒素量の減少
    • 低い刈高
    • 目砂施用量の減少(薄目砂が主流となり、1回あたりの施用量が減少したこと)
    • 造成時のアンジュレーションの不具合による、ひっかきや、過度に低い刈高となる箇所の発生
  • 殺菌剤の使用形態の変化
    • 薬剤の特性の変化(対象病害の狭化)
    • C類の薬剤の使用量の減少
    • 小水量散布

等と言ったところが、皆さんから伺ったご意見で、ざっと思い出せるところです。
そして、その対策としては、大体次のような処かな、みたいな感じです。

対策

  • 苔を対象とした除草剤の散布
    • 代表格:キレダー(ACN)
  • 苔が対象ではないが、効果のある(と言われる)資材の施用
    • 重曹(ベーキングパウダー)
    • 界面活性剤(食器用洗剤の類)
    • 肥料(硫化鉄・硫酸銅など)
  • 苔を対象とする、よく分からない資材の施用
    • とくに名を秘す、「コケ○○」みたいな諸々の資材
  • 物理的に取り除く
    • 張替
    • 掻き取り等

と云ったところですね。
どれもそれなりには、効果があったり無かったり・・・。
これも、以前レスした通り、「あそこで良いものが、ここで良いとは限らない」と云う原則がいきているようですし、一時は効果がみられても、すぐに再生してしまったりもしているようです。

最近の主流というか、結構アチコチで囁かれている(もう公知の事実、で良いのかも・・・)のは、
「要するに、苔の方がベントグラスよりも濃度障害を起こしやすいのだから、何らかの手段で、より積極的に、苔に濃度障害を起こしてやれば良いんだよね」
という発想からの、時には結構強烈な処方です。
アチコチのキーパーや業者さんが、「殺菌剤の○○と××でいける」*2みたいな情報を遣り取りしていますが、どうも、薬剤の成分による枯殺ではなく、濃度障害を起こさせて故殺しているようです。
まあ上記の、「苔が対象ではないが、効果のある(と言われる)資材の施用」と通じるところがあります。
超有名コースのヘッドキーパーの、某社展着剤+殺虫剤(殺菌剤)みたいなやり方は、ご本人がはっきりと「濃度障害を起こさせるのサ」と仰っていますし(多分「濃度障害」の言い出しっぺではないかと思います)、確かに効果がありますね。*3
ただ、これも「効果のある苔と、無い苔がある」ようです。
また、このあたりが、腹立たしくも面白いところですね。

で、苔の侵入防除の決め手は、と云うと皆さんズバリ「芽数を減らさなきゃイイノサ」と仰いますね。
冒頭にあげた、侵入の要因を考えると、確かにそのとおりなんですが、コンパクションとスピードを求められる昨今のパッティンググリーンでは、なかなかに難しい事でもあります。
「グリーンが早いの遅いの、能書き垂れるプレーヤー*4の中で、どのくらいの連中がきちんとボールコントロール出来ているのかさ」と云うキーパーのぼやきも、そうそうハウスには届きませんし・・・。
管理資材費削減、人件費削減の嵐の中で、今日もキーパー諸氏の苦しい戦いが続いているのですね。

*1:ちょっと?もあるのですが、複数の方が仰っていることは、リストに入れてみました

*2:たまに、聞いている方がオイオイ、ウソダロ〜・・・。どうやって思いついたんだよ〜みたいな・・・。ある意味ヤばくてトテモ紹介出来ない・・・

*3:組み合わせをばらしても怒られないでしょうが、一応、伏せさせてください。この位のことで出入り禁止にするような、器の小さな方ではないのですが・・・

*4:時々、「バカヤロウドモ」なんて下品な脳内変換が・・・